- 品質・工程・安全などの施工上のトラブルの発生
- 不良不適格業者の参入や建設業法違反
- 安易な重層下請による生産効率低下
を防止し、建設工事の適正な施工を確保するため、「建設業法」及び「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」により、発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が一定の下請工事を行う場合には「施工体制台帳」「施工体系図」などの作成を義務付けられています。
熊本県発注の建設工事については、施工体制台帳、施工体系図などの他に「下請確認票」などの作成・提出も求められています。
施工体制台帳を作成しなければならない工事
- 公共工事の元請け業者で、当該建設工事を施工するために下請け契約(*1)を締結した場合(下請金額は不問)
- 民間工事の元請け業者(*2)で、当該建設工事を施工するために締結した下請け契約(*1)の請負金額総額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合
*1 建築工事を完成する目的で締結される請負契約を指し、建設工事の完成と直接関係ない請負行為など(資材納入、運搬、警備、測量、調査など)を目的とする契約は含まれません。建設機械のオペレーター付きリースは「建設工事の請負契約」に該当します。
*2 特定建設業者である必要があります。
施工体制台帳を作成したら
作成した施工体制台帳は、
公共工事:工事現場ごとに据え置き、写しを発注者に提出しなくてはなりません。
民間工事:工事現場ごとに据え置くとともに、発注者から請求があった時には、閲覧に供する必要があります。
作成した施工体系図は、
公共工事:工事現場の工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所に掲示する必要があります。
民間工事:工事現場の見やすい場所に掲示する必要があります。
施工体制台帳の作成範囲
施工体制台帳には、元請業者と直接下請契約を締結した請負人(一次下請)に限らず、二次、三次下請なども含め、当該建設工事の施工に携わるすべての下請人を記載する必要があります。
なお、建設業の許可を受けていない業者ももちろん記載の対象となります。
施工体制台帳に係る関係者への通知
施工体制台帳に記載されている下請人が、その請け負った建設工事をさらに下請に出す場合には「再下請負通知書」を作成し、下請契約に係る契約書の写しを添え、元請業者に提出する必要があります。
また、施工体制台帳を作成する必要のある元請け業者は、下記事項を記載した書面を当該工事現場の見やすい場所に掲示し、なおかつ、下請人に対し同事項を書面により通知をする必要があります。
- 元請業者の商号又は名称
- 再下請負を行う場合は再下請負通知を行わなければならない旨
- 再下請負通知の書類を提出すべき場所
施工体制台帳の構成
- 施工体制台帳(元請人に関する事項)
- 施工体制台帳(下請人に関する事項)
及び、以下の添付書類。
- 元請業者が発注者と締結した請負契約に係る契約書の写し
- 元請業者が下請人と締結した請負契約に係る契約書の写し
- 元請の主任技術者(監理技術者*3)が資格を有することの書面の写し
- 元請の主任技術者(監理技術者)が雇用期間を特に限定することなく雇用されているものであることを証する書面(写し可。例:健康保険被保険者証の写しなど)
- 元請が専門技術者を置いた場合は、その者が主任技術者資格を有することを証する書面及びその者が雇用期間を特に限定することなく雇用されている者であることを証する書面(写し可)
*3 専任を要する監理技術者の場合、監理技術者資格者証でなくてはなりません。
熊本県発注の建設工事
熊本県は県発注の建設工事のうち、下請契約を締結した工事について元請業者には以下の書類の提出を求めています。
- 施工体制台帳(元請人に関する事項)
- 施工体制台帳(下請人に関する事項)
- 施工体系図
- 下請確認票
- 元請・下請関係内容表
下請け業者に発注した工事1件の契約金額が100万円以上となるとき
経審の際に提示する書面
熊本県の場合、以下の書類については提示必須となります。
- 施工体制台帳(元請人に関する事項)
- 施工体制台帳(下請人に関する事項)
- 施工体系図
- 元請業者が下請人と締結した請負契約に係る契約書の写し
なお、公共工事の雑工事についても提示を求められますのでご注意ください。