経営事項審査の公正性を確保するため、虚偽申請防止対策の強化について運用面の改善が行われています。
内容は次の通りです。
- 経営状況分析機関が行う疑義項目チェックの再構築
- 審査行政庁が行う相関分析の見直し・強化
- 審査行政庁と経営状況分析機関との連携強化
今後は審査行政庁(国及び都道府県)及び経営状況分析機関の確認事務がそれぞれ強化されるとともに、経営状況分析に係る異常値情報が審査行政庁に情報提供されるなど、双方の連携強化が図られます。
経営状況分析機関が行う疑義項目チェックの再構築
各経営状況分析機関が実施している異常値確認のための疑義項目チェックについて、倒産企業や処分企業の最新の財務データ等を用いて指標や基準値の見直しを行います。
疑義項目については追加書類を求め、その真正性を確認し、極端な異常値を示す申請については、審査行政庁に情報を直接提供する仕組みが作られました。審査行政庁はこの情報を原本の確認や立入検査などを実施する受点審査対象企業の選定に活用できるようになっています。
※立入検査とは?
経審などにおいて不正事実の申告などを行った建設業を営むものに対して、所管大臣、知事が特に必要があると認める時、許可行政庁職員が営業者など関係場所に入り、帳簿その他の物件を調査すること
審査行政庁が行う相関分析の見直し・強化
各審査行政庁が実施している完工高と技術職員数値の相関分析について最新のデータに基づいて基準値の修正を行うこととなりました。
技術職員数値当たりの完成工事高が許容上限を超える場合は完成工事高に水増しがあるのではと疑われます。また、許容下限を下回る完成工事高である場合は技術職員数が実際より多く計上されているのではないか、と疑われるようになりました。
審査行政庁と経営状況分析機関との連携強化
各審査行政庁では、新たに経営状況分析機関から提供される情報も活用し、適切に重点審査対象企業を選定し、証拠書類の追加徴収や原本確認、対面審査、立入等を効果的に行います。
平成23年1月1日以降の申請に係るものからこれらの取り組みが実施されています。国交省は、防止対策強化の方針を明確にしたことで経審によって企業実態がより適性に評価競れるものと期待されています。
経営事項審査に虚偽の記載をした場合
経営事項審査申請書、財務諸表等に虚偽の記載をした上で得た経営事項審査結果に基づき、入札参加者資格審査申請(指名願い)を行った場合は営業停止、指示処分などの監督処分を受けることになり、同時に指名停止を受けることもあります。
建設業法においては、経営事項審査申請書、経営状況分析申請書、財務諸表等に虚偽のの記載をした者には6か月以下の懲役または100万円以下の罰金に処すと定められています。
また、国土交通大臣又は都道府県知事が経営事項審査の為の報告、資料の提出を求めたにもかかわらず、報告、資料の提出をしない、もしくは虚偽の報告、虚偽の資料の提出をした場合には100万円以下の罰金に処せられます。
併せて、許可の取り消しを受け、5年間は改めて許可を受けることができなくなります。