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建設業と労働保険

建設業の場合は労災保険が一般の企業とは取り扱いが異なるため、労災保険と雇用保険を別々に処理する必要があります。

このため、許可や経審の際に提示する申告書や領収書などもややわかりにくいので以下に解説します。

一元適用と二元摘要

一般企業では、労災保険と雇用保険もセット(一元適用)で加入し、事業所単位で適用します。
ですから、申告・納付などの処理も一つにまとめてできます。

これに対して、建設業では、

  1. 雇用保険は、雇用保険加入の対象となる労働者を必ず雇用保険に加入させなければならない。
  2. 労災保険は、建設業が「有期事業」にあたることから、その事業ごと(工事現場単位)に計算する。
    その建設工事の元請業者が労災保険に加入し、その元請業者の労働者及び下請業者の労働者の労働災害について補償する。

ために、労働保険を一つにまとめて処理することがむずかしいので、労災保険、雇用保険関係の適用や保険料の申告・納付などの事務を、それぞれ別に行います。
これを二元摘要といいます。

現場作業員等以外の労働者(事務等)については、現場の労働保険の適用を受けないため、別に一元適用事業として手続きを行う必要があります。

ちなみに二元摘要事業所は建設業だけではなく、以下全てが二元摘要となります。

  1. 都道府県及び市町村の行う事業
  2. 都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業
  3. 六大港湾(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港)における港湾運送の事業
  4. 農林水産の事業
  5. 建設の事業

有期事業と一括有期事業

有期事業とは、事業の期間が予定される事業のことで、建設の事業は工期があるためこれに該当します。
これに対して、事業の期間が決まっておらず、継続する事業のことを継続事業といいます。

また、有期事業のうち労災保険料の概算見込額が160万円未満で、かつ、請負金額1億8千万円未満のものは一括されて全体が一の事業とみなされ、継続事業と同様の方法で適用されます。
これを一括有期事業いいます。

建設業と労働保険番号

一元適用事業では労働保険番号(労災保険の番号、雇用保険の番号)は一つですが、二元摘要にあたる建設業は、労災保険用の労働保険番号と雇用保険の労働保険番号とがそれぞれに管理されており、複数の労働保険番号を設定されています。

つまり、二元適用事業については、現場労災番号、事務労災番号、雇用保険番号と労働保険番号が最大3つになることがあるということになります。

労働保険番号は、14桁の番号で構成されていて、

府県(2桁) 所掌(1桁) 管轄(2桁) 基幹番号(6桁) 枝番号(3桁)

となっています。

府県番号

全国の都道府県を2桁の数字で表しています。
熊本は43です。

所掌番号

  • 労災保険に係るもの:1(労働基準監督署)
  • 雇用保険に係るもの:3(公共職業安定所)

管轄

管轄する労働基準監督署および公共職業安定所を2桁の数字で表しています。

基幹番号

労働保険事務組合に委託している場合

基幹番号は9で始まり、基幹番号の末尾の数字については以下のように区分されています。

  • 雇用保険:2
  • 労災保険の現場等の労災保険:5
  • 労災保険の事務員等の労働保険:6
  • 一人親方の特別加入の労災保険:8

例えば、
労働保険事務組合に委託している場合の、熊本県の二元適用事業の現場などの労災保険の保険番号は

府県 所掌 管轄 基幹番号 - 枝番号
43 1 15 900005 - 001

となります(※管轄は架空の番号です)。

枝番号

事務組合に委託している事業所、単独有期事業を行う事業所については番号が付与されます。
労働基準監督署が発行する番号は、000と表記されています。

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