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建設業における消費税率引き上げ対応

2019年10月より消費税が10%に引き上げられます。
建設業の場合は契約即引き渡しとはならず契約から引き渡しまでに日にちを要することが一般的であることから、過去の引き上げ時同様、改正前の消費税率が適用される経過措置が適用されます。

※消費税の納税義務は物(目的物)の引き渡しをした時に発生する為、契約日ではなく目的物などの「引渡し日」時点の税率が適用されるためです。

工事請負契約と経過措置

消費税の経過措置が適用されるためには、経過措置の適用を受けるためには、「指定日の前日」までに工事請負契約を締結する必要があります。
今回の指定日は2019年4月1日ですので、2019年3月31日までに契約すれば増税日10月1日以降に引き渡しでも消費税は8%となります。

契約日 2019年3月1日以前 2019年4月1日以降
引き渡し日 2019年9月30日以前 2019年10月1日以降 2019年9月30日以前 2019年10月1日以降
消費税率 8% 8% 8% 10%

契約後に追加工事が発生した場合

2019年3月31日以前に契約し経過措置が適用された工事であっても、指定日以降に変更契約により増額された場合はその増額部分については引き上げ後の10%の消費税率が適用されます。

例)
2019年3月31日以前になされた当初契約が100万円で、2019年4月1日以降10万円の変更契約(増額)があり、引き渡しが2019年10月1日以降だった場合、
工事代金は、¥1,190,000 となります。

資材購入や下請契約

建材等の購入費や外注費など施工者が一時負担した事業上の経費の消費税相当額は、仕入れ税額控除の対象となりますが、あくまでも原則として、その物や工事の「引渡し」を受けた時点の消費税率で控除します。

外注契約については工事請負契約であるため上記経過措置の対象となります。その外注工事契約が指定日より前に締結されている場合は、2019年10月1日以降に引き渡しでも消費税は8%となります。

元下契約の税率の違いと損益について

契約のタイミングによって、元請事業者との請負工事の取引には8%の消費税率、下請事業者とは10%の消費税率が適用され、支払う消費税は10%なのに受け取る消費税は8%と差が生じてしまうのではないかといった懸念が生じるかもしれません。

原則として、事業者の消費税の納付税額は、売上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除した金額となり、その仕入れに係る消費税率分が控除されることとなります。

したがって売上げに係る消費税率が8%で仕入れに係る消費税率が10%と異なる場合であっても、上記の消費税の納税の仕組みにより損益に影響はありません。

消費税を適正に価格に転嫁しましょう

以下のような「減額」や「買いたたき」といった行為は法で禁止されています。ご注意ください。

  • 契約済みの請負金額(税込)から消費税率引き上げ分の全部又は一部を減じる場合
  • 既に支払った消費税率引き上げ分の全部または一部を次に支払うべき請負金額から減じる場合
  • 請負金額を一律に一定比率で下げて、消費税率引き上げ前の請負金額に消費税率引き上げ分を上乗せした額よりも低い請負金額を定める場合

建設業法違反

以下のような行為は建設業法違反となります。

  • 見積にて不明確な工事内容を提示したり、適正な見積もり期間を確保しない場合
  • 請負金額について、消費税率引き上げ分の上乗せを受け入れることに合意したのに書面による契約を交わさなかった
  • 請負金額について、消費税率引き上げ分の上乗せを受け入れるが、その代わりに工期の短縮や変更を強要する
  • 請負金額について、消費税率引き上げ分の上乗せを受け入れるが、支払いを保留する行為

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